紀元前の議事録?世界初の速記者「マルクス・トゥッリウス・ティロ」物語

タイプライターも、ボイスレコーダーも存在しない紀元前の時代、人々はどのように会話を記録していたのでしょうか?
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Jul 15, 2025
紀元前の議事録?世界初の速記者「マルクス・トゥッリウス・ティロ」物語

速記者の由来と定義

速記者とは、話されている内容をリアルタイムで素早く書き記す専門家を指します。速記(速記)は、短い時間で効率的に文字を書く技術として、主に法廷、議会、会議などで演説や対話を記録するために活用されてきました。速記者は、一般の文字よりも簡略化された記号や略語を用いて驚異的なスピードで筆記します。その技術は、速記用タイプライターやPCの登場と共に進化してきましたが、「話されている言葉を、即座に文字として記録する」というその核心的な役割は、今も昔も変わりません。

世界初の速記者、マルクス・トゥッリウス・ティロ

世界で最初のプロの速記者として知られるマルクス・トゥッリウス・ティロ(Marcus Tullius Tiro)は、紀元前1世紀の古代ローマに生きた人物です。彼は、ローマ最大の雄弁家キケロの秘書であり、元々はキケロの奴隷でした。

ティロは、主君であるキケロの多くの演説をリアルタイムで記録するために、通常の文字では到底追いつけないという現実に直面します。この必要性から、彼は「ティロ式速記法(Tironian Notes)」として知られる、体系的な速記記号のシステムを考案しました。この功績により、ティロは「速記の父」と評価され、キケロの思想や演説を後世に伝える上で、決定的に重要な役割を果たしたのです。

その卓越した能力を認められたティロは、紀元前53年に奴隷の身分から解放されます。解放後も彼はキケロの最も信頼する協力者として、彼の手紙や演説を体系的に整理・出版し、その思想がローマ社会に広く伝わる手助けをしました。奴隷から学者、そして出版人へと変貌を遂げたティロは、速記の歴史だけでなく、ローマの知性の歴史にも大きな足跡を残しました。

ティロ式速記法の誕生と、現代速記技術への発展

ティロが開発した「ティロ式速記法」は、約4,000もの記号で構成された体系的な筆記法で、複雑なラテン語の文章を、わずか数画の記号で迅速に記録することを可能にしました。基本となる記号を組み合わせたり、変形させたりすることで、その場で新しい単語を即座に作り出す柔軟性も備えていました。

この画期的なシステムは、その後多くの人々によって改良が加えられ、中世ヨーロッパの時代まで修道院や学術界で広く使用されました。ティロ式速記法は、近代に至るまでヨーロッパの様々な速記システムの重要な基礎となったのです。

17世紀以降、ジョン・ウィリス、ピットマン、グレッグなど、多様な近代的速記法が開発され、速記技術は絶えず発展しました。20世紀には音節単位で記録できる速記用タイプライター(ステノタイプ)が登場し、法廷や放送局で広く使われるようになります。そして現代、音声認識(STT)と自然言語処理(NLP)を基盤としたAI技術が登場し、ティロが目指した「言葉を一つ残らず記録する」という仕事は、最先端の方式で今も進化を続けています。

21世紀の速記者、AIノートテイカー「Tiro」

2,000年以上の時を経て、今。古代の偉大な速記者ティロの名を受け継ぎ、記録のあり方を再び革新するAIノートテイカー「Tiro(ティロ)」が誕生しました。古代のティロが自らの手で記録したとすれば、21世紀のTiroはAI技術を駆使し、人間の声を正確かつ迅速にテキストへと変換します。

現代のTiroは、まるでキケロの演説を記録した古代のティロのように、あなたの会議、講義、インタビューといった重要な瞬間を一つ残らず記録し、完璧な議事録やメモを作成します。複雑でスピーディーな現代のコミュニケーションにおいて、もう重要な情報を取り逃す心配はありません。

マルクス・トゥッリウス・ティロがそうであったように、現代のTiroもまた、あなたの全ての言葉を記憶します。速記の歴史の幕を開けた古代の天才の精神を受け継いだ、21世紀の速記者。AIノートテイカー「Tiro」に、今すぐ出会ってみてください。

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